ぎんさんマインド

いちエンジニアの思考とか趣味についてつらつらと書いてみるかもしれない。

ABC予想の問題を読む

日課のニュースをふらふらみていたら、今更ながらABC予想の文字が見えた。
ずっと昔にどういう問題なのかなー?気になったけど、結局詳しく調べもせずに終わったので、改めて読み解いてみる。

問題

ja.wikipedia.org

a + b = c
を満たす、互いに素な自然数の組 (a, b, c) に対し、積 abc の互いに異なる素因数の積を d と表す。
このとき、任意の ε > 0 に対して、
c > d^1+ε
を満たす組 (a, b, c) は高々有限個しか存在しないであろうか?

解説

上記がABC予想と言われている。

最初の文、a + b = c を満たすお互いに素な自然数の組はわかりやすい。
a = 1, b = 2として例えるなら 1 + 2 = 3 つまりc = 3であるということになる。

ここから 積 abc の互いに異なる素因数の積 1 * 2 * 3 = 6 つまりd =6と表した時に
c > d ^ 1 + ε (ただしε >0)となるような値を考えていこうということになる。

ざっくりとした説明であればこんな感じなので、もうちょっと詳しくみていく。

まず、「互いに素な自然数の組である」という点、これは最大公約数が 1 であるともいえる。
つまり互いの数値が1以外に同じ同じ数字で割れないということになる。
a = 2, b = 4の場合だとaもbも2で割れるので当てはまらないということになる。

次に、「積 abc の互いに異なる素因数の積」
これは、abcをそのまま掛けるのではなく、それぞれを素因数分解し、その一意な値同士を掛けるということである。
例を出すならば a = 1, b = 8だとわかりやすい
a + b = c から 1 + 8 = 9, c = 9 になるが
b = 2^3 ,c = 3^2 であるため
1 * 8 * 9 は 1 * 2 * 2 * 2 * 3 * 3 とも書ける。ここから同じ値をはぶき
1 * 2 * 3 = 6 つまりd = 6であるということである。

さらにこれは c > d であるためこれ以降の説明にも使えそうである。

問題文には
c > d^ 1 + ε と書かれているが、一旦εの値を無視してみると c > d と同じであり上記のa = 1, b = 8でも成り立ちそうである。
ただ、ε > 0であることからdは1より上の冪乗をする必要があるということになる。
仮にεを0.1にした場合は 6 ^ 1.1 = 7.17738719311 つまり、9 > 7.17738719311となる。
これでも成り立つため、これはABC予想の問題に当てはまるということになるが、問われているのはこれが無限にあるのか、有限個なのかである。
a を無限に増やした時、bを無限に増やした時にどうなるかを探り証明するのがこの問題の主旨になる。


問題をさらにわかりやすく理解するために、この計算をプログラムで表し、列挙してみた
github.com

全て列挙するというのは流石に無理だが、ある程度列挙はできるようだ。
中に書かれているepsilonは、問題に当てはまらない最小の値を表示したので簡単な指標としてみてほしい。
a <=10000, b <=10000 まで計算してみたけど、
a,bの値が上がるにつれてεの値が下がっていくのであればわかりやすかったけど、そんなこともないようで。

流石は証明が正しいかどうかに5年もかけた問題は違うなぁ。